曖昧性 → 限定的な多義性

ウィリアム・エンプソンは
英語詩の分析をとおして
単一の表現で複数の意味を表す
7形式の曖昧性の存在を指摘し
豊かな言語表現として注目した。

 

 

後藤正紘によれば
複数の解釈が同時に成り立つ
このような表現は言語だけでなく
空間表現でもみられるという。

 

 

言語表現にみる曖昧性

The curry was hot.

カレーは熱かった。

カレーは辛かった。

後藤正紘(2000年)
曖昧性をめぐって
―英語の本質の解明 より

   

ピカソ作「アルルの女」の分析
正面・側面2方向の顔が同画面に重なり合う。

実の透明性

ジークフリード・ギーディオンは
近代の芸術と建築の共通性として
透明な表現に由来する
形態の同時多重解釈性を指摘。

グロピウス設計「バウハウス校舎」の分析
ファサード、躯体による2つの形が重なり合う。

       

ネッカーの立方体

右のような立方体の線画では
面ABCDを上から見ているのか
面EFGHを下から見ているのか
解釈がいずれかに
固定することがない。

レジェ作「3つの顔」の分析
画面を構成する要素の重なり合いが
複数解釈可能。

虚の透明性

ロウとスラツキーは
近代の芸術と建築の共通性として
要素相互の関係性に由来する
形態の同時多重解釈性を指摘。

コルビュジェ設計「ガルシュの家」の分析
窓、壁、屋上テラス、外部階段などにより
正面ファサードが複数解釈可能。

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