Laboratory of Landscape

村上修一研究室

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気候変動時代に大阪湾岸で水とともに暮らす新しい沿岸空間モデルの構築と提案

-気候変動時代における沿岸の浸水対策において親水性の両立は可能か?-

沿岸部の都市では,海面上昇にともなう頻発が予想される浸水被害に備え,脆弱な沿岸をいかに再編するか,持続可能性の観点から重要な課題となっています。 これに対し,沿岸の親水性の向上を持ち出すのは論外でしょうか?

国内の沿岸には堤防がそびえ立ち,まちと海や河口との関係を分断しています。例えば,この写真のように,安治川河口に立地する弁天埠頭公園から水面を望むことはできません。この状況は,沿岸に暮らし働く人々の海や河口に対する行動や意識にも影響していると考えられます。沿岸の形は今のままで良いのでしょうか?


弁天埠頭公園(2024年撮影)

この問いに対する答えを見出すべく,大阪湾に面する大阪市5区(西淀川区,此花区,港区,大正区,住之江区)を対象として,沿岸の断面形, 沿岸での行動,世界各都市の潮位上昇対策,沿岸形の可能性,形と意識の再検討,について研究を行いました。

■沿岸の断面形
大阪湾に面する大阪市5区(西淀川区,此花区,港区,大正区,住之江区)を対象に,堤外(海や河口),堤防,堤内(街路や街区)の断面形を調査し,水への接近可能性という観点から現況を把握しました。
詳細はこちら
村上修一(2022)気候変動時代に水とともに暮らすための沿岸空間とは?-大阪市の湾岸5区における沿岸の断面形の把握:都市計画報告集No.21-2:230-234

■沿岸での行動
大阪湾に面する大阪市5区(西淀川区,此花区,港区,大正区,住之江区)の水辺の地名に関連して投稿されたSNS記事1,100 件で,運動,巡行,観察,その他の余暇活動,余暇活動以外にわたる 57 種類の行動が認められました。
詳細はこちら
村上修一(2023)ソーシャル・メディアを用いた都市型水辺の行動把握-大阪市沿岸部におけるInstagram投稿の調査:都市計画報告集No.22-1:117-121

■世界各都市の潮位上昇対策
レジリエント・シティーズ・ネットワークに加盟する世界各地の48都市の適応力向上戦略文書を調査したところ,海とのつながりを保つ対策には,①海岸に対する接近性を高めて海とのつながりを人が実感できるようにする,②海岸の価値を高めて都市と海とのつながりを強化する,③沿岸生態系の保全という視点から陸と海とのつながりを保全するという3つの方向性,および挑戦的な対策をつくる過程とが認められました。
詳細はこちら
村上修一(2024)世界各地の都市が海の潮位上昇にどう取り組んでいるか-レジリエント・シティーズ・ネットワークの公開文書の調査:都市計画報告集No.23-2:115-121

■沿岸形の可能性
大阪市西淀川区(2023年),港区(2024年)を対象に,学生たちとともに沿岸再編の可能性を検討し試案を作成しました。試案をホームページで公開しました。
西淀川区における試案 にしよど水辺PJ
港区における試案 みなと水辺PJ

■形と意識の再検討
学生たちとともに制作した沿岸再編の試案を,対象地区において行われたワークショップ等において展示し地域の方々と意見交換を行いました。
2024年5月@西淀川区役所会議室:にしよど防災カフェの防災展示に出展
2025年3月@KLASI COLLEGE:港区プレイスメイキングワークショップにて発表

■沿岸の形は今のままで良いのか?
(継続中)

参照サイト
Resilient Cities Network
Resilient Boston Harbor
Rachel Dovey, Resilient by Design and Before Disaster, Landscape Architecture Magazine, January 19 2018
法政大学地域研究センター, 2019, 地域の気候変動適応白書-社会実装の推進に向けて, 57-62

謝辞:この研究はJSPS科研費JP21K05656の助成のもとに行いました。
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