Laboratory of Landscape

村上修一ランドスケープ研究室

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3回生ゼミ演習(2023年)

にしよど水辺プロジェクト
沿岸部の都市は,気候変動による海面上昇という問題に直面している。脆弱な沿岸の空間をいかに再編するか,世界中の沿岸都市で喫緊の課題となっている。

この文脈で浸水対策のみ進められると,海との関わりが絶たれてしまうところだが,ボストン市のClimate Ready Bostonに見られるように,治水と親水とを両立させる沿岸の形が近年の潮流となっている。本演習では,大阪市西淀川区を対象としてこの課題に取り組んだ。

Re:堤Born~にしよど防災まちづくり~

大阪市西淀川区は大半が海や川に接している。人々と水の距離の近さがまちの魅力である。その魅力を活かすべく,まちをぐるりと囲む堤防を利用した新たな親水空間を提案する。

まず,先駆事例としてボストン市のClimate Ready Bostonを調査した。イースト・ボストン,チャールズタウン,ノース・エンド,ダウンタウン,サウス・ボストン,ドーチェスターの各地区計画を把握し,これらの図のように沿岸をどのように再編できるのか学んだ(ボストン市ホームページ掲載のデザインガイドライン)。



次に,西淀川区内を複数回にわたって踏査した。人の身長を容易に超える高い堤防によって視線が遮られ,すぐ近くにあるはずの水と分断された状況をあらためて実感した。その一方,公園と一体化した佃防災船着場や,潮の満ち引きのある磯浜の矢倉緑地といった親水空間の存在も認識した。

さらに,広域の地形,水系,地質,気象,詳細な地形,防災,土地利用,交通,人口動態,土地履歴,歴史,まちづくりの各項目について西淀川区の解析をおこなった。土地改変や地盤沈下,高潮による浸水リスクをはじめ,現況の空間的・時間的文脈を把握した。

その上で,場所の特性に応じた親水空間17案を考案した。


拡大イメージ

以下の俯瞰図は,西淀川区の水辺全域(黄色の帯)を示している。既存の佃防災船着場と矢倉緑地に加えて,これら17案の親水空間のいずれかが適応され得ると考える。


出典:PLATEAU VIEW 2.0(国土交通省)(https://plateauview.reearth.plateau.reearth.io/)の当該エリアビューをもとに作成

作成:島元健吾,杉本英紀,林みのり,藤田拓実,古田悠馬,前田結子,山本翔太郎

指導:村上修一,轟慎一

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