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3回生ゼミ演習(2022年)
- 起動!西の湖プラットフォーム
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琵琶湖の東岸中央部に位置する西の湖は,数少ない現存内湖の中では最大の面積を誇る。2006年には西の湖を含む一帯の水郷が国の重要文化的景観に指定され,2008年にはラムサール条約にもとづき国際的に重要な湿地として認定されている。
近年,近江八幡市では西の湖をまちの将来像の主役として活用しようという動きがある。その契機となったのが2010年の安土町との合併である。それまで行政界で二つに分かれていた西の湖が一つになったのだ。旧両市町の商工関係者が中心となり,八幡堀と安土城とを結ぶ廻遊路を西の湖畔に創出しようという取り組みが続けられている。2021年には,四者連携協定(市,滋賀県立大学,近江八幡商工会議所,安土町商工会)による「西の湖廻遊路整備推進会議」が基本方針案を策定した(2022年8月答申)。今後,この基本方針にそって拠点等の整備が進められる予定である。
一方,当推進会議では,実に多くの主体が西の湖と関わりながら活動しているものの,それらを俯瞰的に把握したり,主体間の連携を促進したりできる場が無いということが問題視された。そのため,基本方針には,拠点等の整備とともに,西の湖に関わる多主体の情報が共有されるプラットフォーム(基盤)の形成が盛り込まれた。
このような中,市民団体「西の湖プロジェクト」が,西の湖WEBサイトを立ち上げる事業を始めた。西の湖のポータルサイトとしての役割を果たし,西の湖に関わる主体に情報提供を呼びかけ,関連イベントや魅力を発信し,景観保全と観光振興につなぐという趣旨である。イベントが一目でわかる西の湖カレンダーをはじめ,関連団体ホームページへのリンク,西の湖の歴史や現状,観光情報等が掲載される予定である。これはまさに,西の湖廻遊路の基本方針に盛り込まれたプラットフォームになると言える。
そこで本課題では,プラットフォームとしての西の湖WEBサイトの立ち上げを支援すべく,主に西の湖の魅力を伝えるためのコンテンツの企画提案と制作を目標とした。
西の湖という社会的共通資本を美しいまま未来へ継承できるかどうか。それは人の関わり方にかかっている。時代は今,Web3.0時代への移行の途上にある。Web3.0では誰もが情報の主役として認められるようになり,活動の創造,発信,支援,返礼といったやりとりが共有され,分散型自立組織(DAO)による取り組みが盛んになると期待される。西の湖に関わる多主体はまさにDAOである。Web3.0を追い風に,西の湖DAOの舞台となるプラットフォームを起動させることを期待する。
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指導:村上修一,轟慎一