Laboratory of Landscape

Shuichi Murakami 村上修一研究室

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Empowering a commercial district by utilizing a stream
都市水路をいかす商店街活性化プロセス




場所:大津市長等地区/長等商店街振興組合,滋賀県商店街振興組合連合会

大津城の城下町,園城寺の門前町,京都に隣接する宿場町としての歴史をもつ地区。大津城の中堀や外堀が物資荷揚用の舟入として利用され,湖岸に幕府や諸藩の蔵屋敷が並ぶ港町で,100 カ町からなる商工業者の都市として発展した。東京遷都や湖上輸送の激減にもかかわらず,第2 次大戦まで盛り場として繁栄。石橋町商店街(旧名)には鈴蘭灯が並び寄席があった。現在,往時の賑わいはない。
一方,山と湖にはさまれた地形から,古来より閼伽井,練貫水,走井,関清水,独鈷水といった名水に恵まれた。町家の裏や通りの両側に張り巡らされた水路は,排水や防火用水に活用されていた。半世紀前までは,豊富な水を利用した酒造や染物といった生業が営まれ,各家には井戸があり,水路で打ち水をしていた。現在は,湧水が衰退し,水路の暗渠化が進み,唯一の河川である百々川も枯れ,かつての水環境をとどめていない。
2005 年度には,都市水路計画策定(国交省所管事業)の全国7 モデル地域の1 つに選ばれ,本商店街を含む地域関係者で構成された協議会において,水源および水路の調査と水路計画の策定が行われた。当計画の実現に向けて,関係機関の調整が行われた。
以上の背景および関係者からの意見聴取により,百々川をはじめとする水環境と石橋などの歴史資源が活かされた,特色あるまちの将来像を描き出した。具体的には,以下のようなハード,ソフト両面での提案を行った。

・振興組合事務所敷地に,買物客,観光客,地域住民,店主の交流拠点「桃館」を計画。
・交流拠点周辺で,百々川をはじめとする水環境に親しめる空間を計画。
・まちの将来に向けて,今から始められるプログラム「もももプロジェクト」を構想。

2005~2006年:都市水路計画協議会,2007/09/21:第1回委員会(基本構想と意見交換),2007/10/26:第2回委員会(現地調査結果の報告),2007/11/30:第3回委員会(中間案のプレゼンテーション),2008/02/22:第4回委員会(最終案のプレゼンテーション)
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