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取水点より眺望される景観における堰,川,山の基本構成
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以下の写真は,歴史的な堰の取水点において上流側を撮影したものである。川に斜交する堰体と,河道の蛇行の外側に接する山塊が,共通している。川に対して斜交する堰は,流れを弱めることなく水路に導水するため,灌漑距離を延ばすことができ,堰体が低く抑えられるので,洪水時の越水の防止につながるという(注1)。また,川が蛇行しその外側で山塊に接する所は,洪水時でも流路が比較的安定で,渇水時でも澪筋が残りやすいという(注2)。つまり,これらの取水点は,堰を川や山とともに眺めることで,先人たちの試行錯誤や,自然に即した人為の有様に,思いを馳せることができる場所である。
既往研究では,国内51水系90例の歴史的な斜め堰が地形図によって分析され,河道や隣接地形との間に河川水理学の観点から合理的な関係を有することが示された。本研究では,それらの斜め堰の取水点において堰体と河道や隣接地形が実際にどのように見えるかが調査された。分析結果にもとづき,取水点を訪れる見学者が伝統的な河川取水の有り様を学習できる景観資源としての可能性が指摘された。一方,各要素の形状,位置,遮蔽の程度による事例間の差異にもとづき,景観資源としての利活用に向けた課題が提起された。
注1:狩野徳太郎(1971):取水堰:地球出版, 25-26
注2:三輪弌(2012):取水堰の歴史的価値と評価‐水土文化研究会(第9回)講演 川の形と流れを見すえた堰の作り方:土地改良50(3), 32-39
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村上修一(2016)斜め堰の取水点における堰体と河道および隣接地形の見え方に関する研究:ランドスケープ研究79(5):569-574